| SESSION OVERVIEW | DETAILS |
|---|---|
| Location / 会場 | 長野県伊那市千代田湖(湖畔) |
| Target / 収録対象 | ピアノソロ(全3曲) |
【現場の空気感:THE ATMOSPHERE】
今回のプロジェクトは、標高約1,300メートルに位置する南アルプスの秘境、伊那市「千代田湖」の湖畔にて敢行された、野外ピアノソロ・レコーディングでした。アーティストの熱望した「自然の静寂と、湖面を渡る風の音に溶け合うピアノの音色」という極めて抽象的かつ難易度の高いビジョンを実現するため、OTONEXの総力を結集して挑みました。
特筆すべきは、その徹底した準備行程と機材戦略です。今回、カワイ楽器様の多大なるご協力により、野外という過酷な環境にグランドピアノを設置。現場への搬入直後には、熟練の調律師がその場で緻密なチューニングを行い、標高や湿度による変化を極限まで補正しました。
また、現地では安定した電源供給が困難な可能性があったため、今回はシステムの省電力化を徹底。信頼性の高いMacBook ProをメインDAWに据え、シグナルチェーン全体を「高純度かつ低消費電力」な機材で再構成しました。夜明け前の静寂の中、湖畔で完璧に整えられたピアノの弦が澄み切った空気を震わせる——。スタジオのデッド環境では決して得られない、大自然という巨大な共鳴体と「ピアノの呼吸」が一体となった瞬間を捉えることができました。
収録は午前中の最も空気が安定した時間帯に、集中して全3曲を敢行。全てのマイクロフォンに高度な防風処理を施しつつ、ピアノの繊細な解像度と周囲の自然音(アンビエント)を、OTONEX厳選のシグナルチェーンによって空気感ごと記録しました。都会の喧騒から隔絶された場所でも、妥協なきスタジオクオリティを実現。場所の制約をアドバンテージに変える、OTONEXが掲げる「境界なき録音」の真骨頂を体現したセッションとなりました。
GEAR FOCUS:音へのこだわり
■ Main Microphones
- NEUMANN (ノイマン) / U87×2本
- DPA ( ディーピーエー ) / ST4006A×2本
- DPA ( ディーピーエー ) / 4091×2
- SCHOEPS (ショップス) / CMC65×4本…etc.
■ System
- STEINBERG ( スタインバーグ ) / AXR4T(Audio Interface)
- AVID / PROTOOLS(DAW)
- AUDIENT / asp800
SCENES:共鳴する音と空気



















REVIEW:アーティストと共に「理想のサウンド」を共有
今回のプロジェクトは、午前中に最高の純度で音を封じ込め、その完成した音源を午後のMV撮影に使用するという、極めてクリエイティブかつ効率的なプロセスで進行しました。収録されたばかりの「撮れたての音」を現場で共有し、その音霊(おとだま)を身に纏いながら撮影に挑むことで、演奏の熱量と映像の密度は最高潮に達しました。
千代田湖の静寂の中では、わずかなペダル音や演奏者の呼吸さえも、自然の鼓動と共振する重要なピースとして美しく立ち上がります。完成したサウンドは、透明感のあるピアノの旋律を、遠くでさえずる鳥の声や木々のざわめきがオーケストラのように支える、奇跡的なバランスの仕上がりです。
午後のMV撮影では、ドローンを用いた空撮も実施。朝霧の残る幻想的なロケーションと、最高純度の音響が完全にシンクロし、見る者の心に「場所の記憶」を強く刻み込む芸術作品へと結実しました。
カワイ楽器様、そして現地で最高の音を整えてくださった調律師様。多くの方々の情熱が結集し、この「ここでしか撮れない音と映像」が生まれました。アーティストのビジョンが南アルプスの山々に確かに響き渡った、記憶に残る歴史的な1ページです。
