【現場の空気感:THE ATMOSPHERE】
地域の想いが集う場所:信州INAセミナーハウス
今回のプロジェクトの舞台となったのは、長野県伊那市にある多目的施設「信州INAセミナーハウス」です。 ここは、大規模な会議から演奏会、ウェディングまで対応する地域の文化拠点。特に中心部に位置する「cafe.brezza(カフェ・ブレッツァ)」は、巨大なアトリウム構造が特徴で、全面ガラス張りの壁面からは豊かな自然光が降り注ぎます。
今回は「九州の行政のイメージソング」という、地域の未来や想いを形にする重要なプロジェクト。この開放感あふれる空間を贅沢に活用し、午前中にレコーディング、午後にその楽曲のミュージックビデオ(MV)撮影を行うという、非常に濃密なスケジュールで進行されました。
事前に制作された繊細な打ち込みオケをガイドに、ヴァイオリン・ピアノ・ヴォーカルの生演奏を重ね、デジタルとアナログが融合する「誠実な響き」を追求。豊かな自然に囲まれたカフェ空間を臨時のスタジオへと変貌させ、地域に根ざしたクリエイションを行いました。
緻密な同期とモニタリング:キューシステムの構築
現場で直面した最大の技術的課題は、行政プロジェクトに相応しい「明瞭で力強いサウンド」と「生演奏のダイナミクス」の両立でした。 天井が高く、木質的な反射を持つアトリウム空間に、各プレイヤー専用のキューシステムを構築。打ち込みのオケをガイドにしながら、ミリ秒単位の正確な演奏と、空間の響きを味方につけたエモーショナルな表現を同時に引き出す環境を整えました。
ヴォーカルに関しては、言葉一つひとつのニュアンスを大切にするため、後工程での繊細なエディットを前提とした個別収録を実施。施設特有の清廉な空気感を纏わせつつ、公的なイメージソングに求められる解像度の高い収音を実現しました。
GEAR FOCUS:音へのこだわり
■ Main Microphones
- NEUMANN (ノイマン) / U87×4本
- SCHOEPS (ショップス) / CMC65×4本
- DPA ( ディーピーエー ) / ST4006A×2本
- AKG (アーカーゲー) / C414 XLS×2本…etc.
■ System
- RME (アールエムイ)(Audio Interface)
- AVID (アビット ) / PROTOOLS(DAW)
- YAMAHA(ヤマハ) / 01V96K
- AURORA AUDIO( オーロラオーディオ) / GTQ2
- MIDAS(マイダス) / XL48
- BEHRINGER / POWERPLAY P16-M×4台…etc.
SCENES:共鳴する音と空気




















REVIEW:アーティストと共に「理想のサウンド」を共有
今回のセッションは、地域を象徴する「イメージソング」に魂を吹き込む、非常に意義深い一日となりました。
デジタルなオケに対し、生のヴァイオリンと、**小ぶりで愛らしい佇まいながらもスタインウェイの血統を感じさせる「STEINWAY & SONS」**のピアノ、そしてヴォーカルが重なることで、楽曲は地域の息遣いを感じさせるような豊かな彩りを持ち始めました。
各プレイヤーがキューシステムを通じて緻密に同期し、セミナーハウスの開放的なアトリウムで紡がれた、可憐でいて奥行きのある旋律。そのコンパクトなサイズ感ゆえの、プレイヤーの息遣いに近い親密な響きは、聴く人の心に優しく寄り添う誠実な音像へと昇華されています。
ボーカルを別録りにしたことで、ミックス段階での透明感を確保。楽器の美しい倍音を活かしつつ、メッセージが真っ直ぐに届くサウンドデザインを施しました。午後のMV撮影では、アトリウムに差し込む美しい光と共に、音と映像が一つに溶け合っていく手応えを感じることができました。
なお、当日はレコーディングからMV撮影まで分刻みの極めてタイトなスケジュールであったため、録音本番中の記録写真がほとんど残せず、掲載写真はMV撮影時のものが中心となってしまいました。現場の熱量が少しでも伝われば幸いです。
信州INAセミナーハウスのスタッフの皆様、そして素晴らしいパフォーマンスを披露してくださったアーティストの皆様。一人一人の情熱が、この場所の空気と共にパッケージされた、非常に誠実で透明感のある仕上がりとなりました。地域の想いが最高の形へと結実した、素晴らしいセッションでした。
